金色夜叉

とある女性の話です。

彼女はホステスの仕事をしていました。
親の借金を返済するために肺炎に苦しみながら頑張っていました。

そんな彼女はとある男性と知り合いました。
彼は彼女の事情を知りませんでした。
彼の優しさに心魅かれた彼女は彼と遠距離恋愛を始めました。

ただ、付き合えば彼女の周辺環境を知ることにことになることは必定。
彼は事情もあったので素直に受け入れましたが、こんな美人が自分と付き合ってくれるなんて信じられないし、仕事柄出会いも多いだろうからすぐ乗り換えるだろうと彼は少なからず疑念を持っていました。

それが原因でやはりお互いに疑念が生じ、別れ話になりかけましたが、悪いと思った彼の誠意でよりを戻すことになりました。

『信じてほしい。』

彼は彼女のその言葉を信じました。
どんなことがあろうと彼女を信じきることにしました。


しかし、彼のその思いはもろくも崩れ去ります。

何か彼女が不都合に感じると別れ話がすぐ出てくる。
彼はうかつなことも言えないし、肺炎のこともあるので気が気でありません。

ようやくデートの日となります。
しかし、前日になってキャンセルの連絡が。
半日かけていくのだから事前準備もしていたのですが、彼はやむなくキャンセル処理をします。

仕方ないとは思いながらも彼女を信じました。


しばらくして出張があり彼女の住む街にいくことになった彼。

彼女と待望の食事の約束をしました。

しかし、数日前から直前まで彼女と連絡が取れません。
肺炎持ちの彼女に何かあったのかと彼は心配します。

半日待って彼女の住む街に着いて待ち合わせの30分前にようやく彼女と連絡のとれた彼に待っていたのは……。

「ごめんなさい、せっかく来てくれたのにどうしてもそちらにいけません。嫌われたよね……。」

理由を聞いても何も言いません。
そんな彼女に彼はさすがに激こうします。

彼の姿に渋々彼女は彼の元へ。
手も握ってもらえない。近くに寄れば嫌がる。
待望のデートだったのになんだか不協和音の漂うデートでした。

それから数日たって彼の信念と思いが重荷に感じたらしく、やはり彼女は別れを切り出します。

「借金も完済して、新しく始める仕事に集中したいから恋愛は考えられない。だから別れてほしい。」

彼もさすがに疲れ果て、別れを選択しました。

ただ、彼女のことだけは信じようとしました。

しかし、彼に待っていたのは最悪の報告でした。

諸々の事情で新しい仕事は翌日には頓挫し……。

数日後には彼のすぐ近くにいることを知りながら、他の男とデートをし、

ほんの数か月で彼女は他の男に乗り換えていたのです。



さすがの彼は怒り狂うと同時に失念にかられました。

君の言葉を信じていたのに……。

それ以来、彼は女性不信になると同時に、どんなに相手を思っても自分の思いは相手には伝わらないと感じてしまうようになりました。

そんな女としりあったことが不運なのか、それとも彼の思いが届かなかったのかはわかりませんが。

そんな彼が別れてから彼女にこう言っていたそうです。

「君が信じろと言ったから信じきったのに、君がやってることはめちゃくちゃじゃないか!!」

そんな彼に彼女は……。



「時が過ぎれば人は変わるものなのよ。」



彼はいったい何を信じたらいいのかわからなくなっていました。
信じてくれといったなら、もう少し彼の気持ちを察してあげてください。